板室温泉とは
板室温泉は、栃木県那須温泉と塩原温泉のちょうど中間地点、緑豊かな山あいに佇む静かな温泉地で、古くから「下野の薬湯」と言われ、その効能が広く知られ湯治場として栄えていた。
お湯はアルカリ性単純温泉で、湯温は40度前後とややぬるめ。リウマチ、神経痛、婦人病、運動機能障害、肩こり、腰痛、筋肉痛、関節炎などに効果があり、昭和46年には、国民保養温泉地に指定されている。
板室温泉の大黒屋とは
今も湯治場的なムードが濃く、温泉街の中心部には数件の宿があるだけの鄙びた観光温泉郷だが、その中にある「大黒屋」は驚くほど洗練された設備と、洒落た雰囲気の宿である。
大黒屋は、千年の歴史を伝える板室温泉の中でも450年以上続く指折りの老舗だが、今から約20年前、オーナーの室井俊二氏が「精神的な豊かさを提供したい」と、現代アートをテーマにした旅館経営をスタートした。
ここには「保養とアートの宿」と言う明確なコンセプトがあり、芸術家の菅 木志雄氏の作品を核に、さまざまなアートを建物の内外に展示している。個人客を中心とし、また館内には娯楽施設などが無いなど、純粋にのんびりと、そして寛げる空間を提供している。
温泉は、那珂川のせせらぎが心地よい静かなたたずまいの中に内湯、露天、檜風呂を擁する。また、「アタラクシア」という黄土を利用した低温サウナ施設もあり、デトックス・美肌に効果がある。
料理は「地味さ」をテーマとしており、ごすこん=ゴマ、豆、昆布を味の中心に、料理長が工夫をこらした季節の味覚が提供される。器は、ほとんどが作家モノで、メニューによっては人間国宝・勝城蒼鳳氏の竹カゴや輪島の巨匠・角偉三郎氏の椀も使われる。
大黒屋は2005年にメセナアワードの「アートスタイル経営賞」を受賞している。
また2006年より「大黒屋現代アート公募展」をスタートし、300点を超えるの応募作品の中から大賞やお客様賞を決定するなど、現代アーティストにはよく知られた存在の宿である。
大黒屋ではこのほか、音を楽しむ会、餅つき、朝のお散歩会、ステンシル講座、温泉入浴法など月に10日ほど様々なイベントを開催しており、時には料理長や社長も講師になる。
何ものにも煩わされずに、モダンアートと滋味溢れる料理、癒しの温泉を楽しめる宿として、リピーターや連泊者が多く、保養を目的とするならこの上ない宿の一つと言える。